「緑地環境学」第4回2006年10月17日 23:32

 今日は「緑地環境学」の第4回目の講義。本日のテーマは「街路樹の役割」。
    本日の講義の要点

  • 名古屋市では歩道の街路樹は落葉広葉樹が主で、中央分離帯では常緑のクスノキが多用されている。
  • 近代の街路樹は横浜の外国人居留地から始まった。
  • 明治時代は西欧文化の模倣の時代で、東京では1873年に銀座で街路樹整備が始まり、1907年の「東京市行道樹改良按」以降に本格化した。
  • 大正末期から昭和初期にかけて震災や各地の大火後の復興事業で街路樹整備が進んだ。
  • 戦後の「戦災地復興計画基本指針」に基づき、名古屋市では若宮大通りと久屋大通りの2本の100m道路が実現した。
  • 高度成長期の1970sからは「公害対策の緑化」が盛んに行われた。
  • 1980sからは「アメニティのある街路づくり」の時代になった。
  • 道路緑化の機能には、景観向上機能(遮蔽・統合・調和)、生活環境保全機能(防音、大気浄化)、緑陰形成機能、交通安全機能(遮光、視線誘導、交通分離、衝撃緩和)、自然環境保全機能、防災機能などがある。
  • 道路には空中にも地下にも様々な利用権が設定されていて、街路樹は極めて限定された生育空間に押し込められている。
  • 街路樹に関する住民参加としては、「街路樹愛護会」による街路樹の保護育成がある。
  • 街路樹に対する苦情(日照障害、落葉苦情、看板競合、信号・照明競合)は多いが、年月を経て住民が街路樹に愛着を持つようになると減るものらしい。
  • 落葉樹の落葉は秋に大きなピークがあるが、常緑樹は年中少しづつ葉を落としており、初夏に小さいピークがある。
  • 枝の剪定適期は落葉後の時期であるが、落葉の苦情が多いことから、台風前に丸坊主にされる街路樹もある。
名古屋市内の街路樹本数の情報源は、 柳原冨司忠(2006)なごや文化情報 No. 267: 3-5(PDF

 徹夜気味でぎりぎりまで準備したものの、今日は自分で話していてもあまり面白くなかった。。。 講義の最初に時間稼ぎで(?)受講生に街路樹で用いられている樹種を挙げてもらったり、写真の樹種を当ててもらったりして、最後はややまとまりに欠けたまま時間丁度に講義終了。
 来週のテーマは自分の専門分野になる予定なので、少しは準備が楽かも。それとも総説を1本書くくらいの気概でやるか?(でも論文査読2件や科研申請書作成の期限も近いので忙しい・・・)

佐布里池2006年10月17日 23:46

佐布里池
 今日の午後は、ゼミで知多市佐布里池(そうりいけの見学。愛知用水から水を引いているため池で、周りに人が植えた森や梅林、公園施設などが張り付いています。佐布里緑と花のふれあい公園は、高価な材料を使っているようですが、細かなデザインや全体の統一感などが今ひとつ・・・などと評されていました。
 佐布里池は知多市の緑の核になっているとのことですが、本当に有機的なつながりを持った公園緑地のネットワークが形成されているのか、折角の資産を活かしきれていないのではないか、という気もしますが、卒研生がそのあたりを明らかにしてくれることに期待しませう。