「緑地環境学」第11回2006年12月05日 21:12

 今日は「緑地環境学」の第11回目の講義。テーマは「国土スケールの緑地計画」。
    本日の講義の要点

  • 国土総合開発計画とは、国土を総合的に利用し、開発し、および保全し、並びに産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上に資することを目的とする国土総合開発法に基づき策定される計画。
  • 全国総合開発計画(一全総)
      1962年策定、目標年次1970年
      基本目標:地域間の均衡のある発展
      開発方式:拠点開発構想(大規模拠点開発:新産業都市・工業整備特別地区)
      太平洋ベルト地帯を中心に公害列島化し、一方で地方の過疎化が進む。
  • 新全国総合開発計画(二全総)
      1969年策定、目標年次1985年
      基本目標:豊かな環境の創造
      開発方式:大規模プロジェクト構想(新しいネットワーク、大規模工業基地建設)
      日本列島の隅々まで開発可能性を広げ、土地神話を生む。 公共事業頼みで、中央に権力集中、金権政治の温床に。
  • 第三次全国総合開発計画(三全総)
      1977年策定、目標年次1977年からおおむね10年間
      基本目標:人間居住の総合的環境の整備
      開発方式:定住圏構想(モデル定住圏、テクノポリス構想)
      結局は公共事業でハード面の雇用対策が中心。三たびの工業地区開発失敗。
  • 第四次全国総合開発計画(四全総)
      1987年策定、目標年次はおおむね2000年
      基本目標:多極分散型国土の構築
      開発方式:交流ネットワーク構想(多極分散型国土、都心部及び東京臨海部の総合的整備、 基幹的交通と情報・通信体系の整備、民活法による都市再開発、リゾート法)
      バブル経済、規制緩和等で里山のゴルフ場開発が進む。
  • <新しい全国総合開発計画>21世紀の国土のグランドデザイン(五全総)
      1998年策定、目標年次2010年から2015年
      基本目標:多軸型国土構造形成の基礎づくり
      開発方式:参加と連携(多自然型居住地域、大都市のリノベーション、4つの国土軸、地域連携軸)
      相も変わらず交通インフラ整備?
  • 三大都市圏には、首都圏整備法、近畿圏整備法、中部圏開発整備法がある。
  • 首都圏と近畿圏には近郊緑地保全法があり、良好な自然の環境を形成し、かつ、(複数の都市にまたがるような)相当規模の広さを有している近郊緑地を「近郊緑地特別保全地区」あるいはそのバッファーゾーン的な機能を持つ「近郊緑地保全区域」によって保全している。
  • 都市緑地法にもとづく緑地保全地区制度は、近郊緑地特別保全地区の地方版であるが、1つの都市計画区域内に設定される。
  • 大都市近郊の緑地保全計画に影響を与えている海外の事例あるいは考え方として、 ハワードの田園都市論、 大ロンドン地方計画のグリーンベルト、 ボストンのエメラルド・ネックレスに始まるグリーンウェイ(あるいはパークウェイ・システム)などがある。
  • 国有林(一部民有林を含む)では、保護林相互を連結してネットワーク化する「緑の回廊」の設定を進めている(が、国立公園等の自然公園との連携はまだまだ?)。

 今朝も徹夜。。。それでも準備が間に合わず。しかし、実際の講義では、後半の話題は時間不足で駆け足に。。。一部は来週にまた少し触れるつもり。